※クララ+ボニトナ
どこか百合っぽい
豊かな存在感を発する丘の谷間。そこに埋もれる銀色のプレート。うーん、ごくり。
「全くけしからん胸だわ」
「やだ変態みたーい」
「本当に何なのかしらこの胸」
セーターの上からはち切れそうな膨らみを叩いてやれば、彼女は痛くもかゆくもないと笑う。その胸の大きさを、ネックレスが更に強調して実に腹立たしい。
「中に入っているのは脂肪よ。夢や希望や男のロマンなんて詰まってないわ。肩も凝るし」
「大きい人は皆そう言うのね、むかつく」
ソファに腰を沈めてふんぞり返れば、ボニトナは私の肩に手をかけた。
「可愛いのに」
「女としての魅力? そんなものいらない」
「自分で言うかしら」
彼女は首に手を巻きつけて、ぐいぐいと例の胸を押し付ける。ああもう、男にもこんな事してないでしょうね。
「私はそんなクララが好きよ。ギャップ萌えってやつよね」
「意味わかんない」
「そんな気、立たせないで。ね、機嫌直して」
私の首筋に冷たいものが落ちる。胸の上に落ちたのは、銀色の雪結晶。私の好きなブランドのだった。
どういうつもりか、私は彼女を仰ぎ見た。
「プレゼント」
「知ってたの」
「ええ、勿論」
「ふうん」
きらきら、光に反射する形を手で掬う。私は嬉しくて、少し笑った。
ね:ネックレスが好きな君
2010.09.12
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