※秋+夏未



「豪炎寺くんて器用よね」
「そうね」

 ベンチで、ストレッチをするメンバーを眺めながら、秋は夏未に囁いた。風丸と一緒に腕を組み合って持ち上げたり、持ち上げられたりする炎のストライカーはそのクールさからは考えられないほど意外な一面を持っていたりする。料理は自分たちの母親と負けず劣らず、裁縫も手縫いとは思えないほど規則的に精密に。円堂に聞いた話、家庭科の成績は無論、5であったらしい。

「羨ましいわ」

 妬ましげに夏未は豪炎寺を見つめたまま、頬を膨らませた。その様子はいつもの彼女が見せる表情とは違っていて、秋は笑う。もう、と笑った正しい理由を知らないであろう夏未は秋を咎めた。

「あ、あのね、今日家庭科の授業の時、豪炎寺くんがぬいぐるみ作ってるの見たの」
「ぬいぐるみ?」
「夕香ちゃんのために作ってるのかな。ぬいぐるみ好きだから」
「そうかもね。妹さん思いだわ、本当に」

 少し残念そうに溜め息。

「全く、男にしておくには勿体無いわ」
「んー、良いお嫁さんになれるね、なんて言えないしね」







ぬ:ぬいぐるみが好きな君




2010.09.12









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