※円堂←ヒロト



 テレビ画面に映った、青く所々白が混ざる球体はとても美しかった。まるで宝石のようにつるりとしたその上に、俺たちは存在しているらしい。夢のように思えた。環境破壊だとか何とか言っているのに、この惑星はゆったりと青色を輝かせている。
 綺麗だな、すごいな、なあヒロト。
 隣の円堂くんが興奮する。俺も顔には出さないものの、どきどきしていた。

「うん、すごいね」

 地球を背景に、落ち着いた中年女性の語りが入る。ろくに話は聞いていない。ただ目の前の地球の姿を見て、感嘆するだけ。
 よくテレビアニメで宇宙人が地球侵略を企む理由が分かった気がする。確かに俺たちも宇宙人をしていたけれど、侵略は目的ではなかったから。こんなに美しいものだったら、侵略しても良かったかもしれない。飴玉のように形の良いそれは、とても大きいものだけど。地球を手に入れるなんて、無理な話。ならば、どうすればいいだろう。
 俺は円堂くんを見た。目を輝かせて、地球の形を網膜に焼き付けている。
 ああ、そうだ。心の中に「地球」を持っている彼を手に入れるのなんてどうだろう。ずっとずっと円堂くんが好きだった。けど、それは言えなかった。ならば、口実を作ってしまえばいい。
 君の地球を侵略させてください。
 成功すれば、一石二鳥だしね。







ち:地球が好きな君




2010.04.24









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