※ネッパー×ヒート
冗談どころの話じゃない。いつも彼が別れの言葉を告げようとする度、ひやっとする。彼は、もう俺から離れられないと何度も繰り返す。分かってる。分かってるから。知ってる。だから言わなくてもいい。
「ヒート、さよならだ」
「やめてくれ」
俺は悲痛な叫びを上げた。しんとする空間に逃げ場などない。共有している部屋から出ていける事はない。だけど、その言葉を言われてしまったら、俺は飛び出してしまいそうだ。
「さよなら」
「やだ、やだやだ!」
彼に縋りつけば、頭上で笑う音がした。反応を見て、嬉しがっている。悪趣味め。でもその悪趣味に依存しているのは俺で。
「さよならなんて言うな。もう何回目だと思っているんだよ」
薄い胸板に額を擦りつけて、拳で叩きつければ背中に腕が回った。耳元に唇を寄せられる。心臓が鼓動する。
「俺の事好き?」
「好きだって言ってんだろ馬鹿。もうこんな遊び方やめろよ」
全く心臓に悪いんだから。俺は涙を拭う。くひ、と小さく彼が笑った。
「そうだよな。ヒートは俺が大好きなんだもんな」
「そうだよ」
「合格」
そっと唇に影が落ちる。
柔らかい感触が離れ、呼吸が楽になった所で胸にある一物が湧いた。俺は彼を見上げて、一言呟いてみる。
「別れるか? ネッパー」
さ:サヨナラが好きな君
2010.03.17
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