逃げようとしてる?
・モブのクラスの子視点幸リョ
私のクラスには越前リョマという女の子がいる。(そこまでではないが)残念なことに、出席番号順で机は並んでいるため、マ行で始まる私と越前さんとの距離は離れている。部活も趣味も違うため、接点という接点は無い。
本題に入るが、越前さんはとにかくもてる。もてる、といってもそこいらの男子に、などそういう事ではない。たとえば、
「やあ越前さんおはよう。今日は校庭に植えた向日葵の花が綺麗に咲いてるよ。」
タイミングよく扉を開けて入ってきたのは、幸村精市先輩。この学校の生徒会の一人でもある幸村先輩は、越前さんの事を好きな一人だ。
端整な顔立ちに華奢な体つき。勉強も勿論出来るが運動も出来る。実力者が多いこの学校のテニス部でもトップクラスの実力者らしい。
そんな先輩がわざわざ一年の教室まで来て越前さんに挨拶する光景はすでに見慣れた。
「おはようございます幸村先輩。校庭のど真ん中に咲いていた向日葵はあんたのせいすか。サッカー部泣いてたっすよ。あと今冬なんですけど。」
とても綺麗な笑顔で返す越前さん。越前さんの笑顔は貴重だ。その貴重な笑顔が真っ黒だ。
「冬でも向日葵は咲くんだよ。」
「嘘。」
幸村先輩と越前さんの関係を例えるなら、猫と鼠か。猫の一方的な片想いか。
『猫は、逃げられないって分かってて、鼠を逃す。』
最近テレビで聞いた言葉を思い出す。それを踏まえると越前さんはもう幸村先輩から逃げられないことになる。
あながち私は間違っては無いかも知れない。だって、越前さん笑っているのだもの。
ただ問題は、猫が一匹ではない事。
(越前さん頑張れ。)
おそらくクラス全員の心の言葉だろう。
――――――
絶賛迷走中!
猫鼠のくだりはヴァンガでのセリフです
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