特別コーチ [ 3/18 ]
「「「「女子マネ?」」」」
「ああ。一年が一人入る。」
放課後の部室。着替え中に跡部が言った言葉に動きを止めたのは、忍足に向日、宍戸に鳳だ。
「―――って、うちの部って原則女子マネ禁止だろ?榊センセー許すかフツー。」
「その榊先生からのお墨付きだ。これを見ろ。」
ぺろっとだされた紙は、榊先生直筆の手紙――簡単にいえば、越前リョーマをマネージャーにしろ、といった内容だ。詳しくは本人に聞け、と。
目を白黒させる宍戸と向日はまだ何となく不服そうだ。鳳はどんな子ですかねー、と持ち前の人の良さがすでににじみ出てる。忍足に関しては、ま、別にいいんちゃうか、とout of 眼中だ。
「で、どんな子なの?
珍しく起きてる慈郎が聞いてきた。
「ん?そうだな……、かなり小さくて生意気だったな。顔は良いとしてもどう見ても小学生だな。」
「なんや、そんなに小さいん?」
「確実に150はないぞ。あと羞恥心がなさそうだ。」
「ふーん、他は?」
「そんなに会ってないからわかんねえな。手紙を渡したら直ぐに消えたしな。でもとにかく小さ「チビで悪かったね?」
一人を除いて聞きなれないメゾソプラノの声が響く。
パッとドアを見ると、眉間をヒクヒクさせながら、氷帝のジャージを着たリョーマが立っていた。
「着替えが遅いんだけどさっさと練習始めるよてか何チビじゃないしこれから伸びるし。」
早口で捲し立てながらリョーマは黒い笑顔で言った。
部員は皆、目をもっと白黒させることになった。はっ、と我にもどった跡部。伊達に三回目の出合いではない。
「お前、また着替え中に「越前リョーマ1年女子身長は別に小さくない好きな物はテニス―――役割は、マネージャー兼、」
そこで真っ直ぐ、部員を見る。その目は強い。
「―――――――特別コーチ。目標、は全国大会の決勝で戦えるチームにすること。」
じゃ、練習始めるよ、と、さっさと出ていったリョーマをほとんどの部員はぽかんと見るしかできなかった。
例外は跡部と機嫌がよさそうな忍足だけだ。
「なんや、随分面白そうなお嬢ちゃんやんか。それに跡部にもなんか似とるな。」
「似てねーよ黙れ忍足。それよりも、………特別、コーチ?」
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