はじめまして? [ 2/18 ]

人との出逢いは一期一会、なんていうけども。

「あれっ、アンタどこかであったような………誰?」

この少女にはどうやら当てはまらなかったようだ。




仮入部期間が始まり、早2日目。
今年は豊作とはいかなそうだ、なんてことを考えながら、遅れて部活に参加する準備を始めた。
上着を脱ぎ、シャツのボタンをはずし始めた、その時。

「失礼しまーす。跡部サンっているっすか?」

ノックもしないで入ってきたのは、あの時の少女。
花びらはつけてないが、まごうことなき居眠りしていた1年だ。

「お前っ、あのときの………!」
「あれっ、アンタどこかであったような………誰?」

思わずずっこけた。忘れてやがる。それ以上に生徒会長である俺様の名前すら覚えてないのかこいつは、おい。

「たっく……俺様は跡部圭吾だ!覚えておけよ?アーン。」
「ああ、生徒会長の……生徒会長の………………あ、思い出した。入学式あった人だ。」
「今さら思い出したのかよ……。」

かなりマイペースなこの女子はなんなんだいったい。
しかも、少なくとも着替え中の男の前にいるというのに、焦るところか照れてさえもいない。
たしか、こういうのをout of 眼中というって、前に忍足が言っていたような……気のせいか。
今目の前でのんびり構えてるこいつをよく観察してみる。
無駄に整った顔立ちは入学式のままだが(当たり前か)、制服は着崩され……というより無造作に着られている。スカートは少し短い位で別にどうということもない。足は細く、手足が長い。そして小さい。150は確実にないだろう。
しかし、何か、誰かを思い出させるような雰囲気。


「……で?用事は?これから練習があるんだ。簡潔にいえ。」
「あ、そうそう。はい、これ。」

ずいっと渡されたのは、二枚の紙。
一枚は榊先生の字で書かれた手紙。もう一方は――

「マネー……ジャー?」

氷帝学園男子テニス部に存在しない存在。

「俺、越前リョーマって言います。マネージャー、希望です。」

小さな台風は、大きく俺たちをのみこもうとしていた。






cpは暫く皆無かとw
のんびり楽しんでくれれば幸いです。

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