出逢い。 [ 1/18 ]
入学式を迎えるのも、これで三回目になる。一部を除けばエスカレーター式に上がれる、氷帝学園中等部の入学式は、いつもどうり進むはずだ。
「…………寝てやがる。」
式が始まる直前、俺様は生徒会長の言葉を言うために別口で待機していて、ふと、気分転換に外に出ただけだった。
そこに、コイツはいた。
桜の木の根元に体を沈めて寝ている。いつからいるのか、全身桜の花びらでいっぱいだ。スカートを掃いているから女子だろう。顔は白い帽子で覆われている。体にはジャケットがかけられており、『起こすな』と全身であらわしているようだ。そのジャケットも、今はピンクでうまっているが。
普段なら起こさない。しかし、この恐らく新入生がこのまま寝ていたら、俺の言葉も聞かないまま悠々と式が終わるまで寝てるだろう。
「なんかムカつくぜ………おい!起きろ!」
「んにゃ……なんだよ親父ぃ…今日は俺が勝つって………」
誰が親父だ!なんて突っ込みをしながらも、段々とイライラしてきて。
「起きやがれっ!!!!!」
「うひゃあっ!!!…………誰?」
思わず大声を出してしまった。飛び起きたと思ったら誰?とか、馬鹿にしてるようにしか思えねえ。
「たしか、9時から寝てて………あれ?」
今は11時だ。2時間も寝てたのか、おい。
「……アンタ誰。」
「それはこっちのセリフだ。この俺様を知らないなんて、お前転入組か?」
「………まぁ。」
なるほどな。なら知らないわけか。
「とりあえず俺に感謝しやがれ。んで、さっさと式の準備しろ。」
「………起こしてくれって、頼んでないんだけど。まあいいや、アリガト。」
生意気なセリフをはいて、帽子をとり、ふわり、と今まで収納されてた少し長い黒髪を揺らした。
帽子から出てきたのは無駄に整った顔。大きいつり目が不機嫌さを表している。よく見れば体つきの線も細く、手足が長いわりに小柄だ。150ないだろう。
美形、しかも上位に入る。
ふん、と見定めをしていると、そいつは不機嫌そうになった。
「あの……行っていいっすか?なんか始まりそうだし。」
「随分勝手だな……おい。」
本格的に生意気だ。可愛げが無い。
「まあ、いい。行ってこい。場所はわかるな?」
「うぃーす。」
そう言うとそいつはのんびり歩いていった。
「変な奴だな…………。」
見た目は良いのに変な奴。
そんな事考えながら俺はもときた道を戻ってった。
名前聞いてないな、と思いながらも、もう会うこともないだろうし、そこまで気になったわけでもない。
氷帝は広い。また会って話す、なんて事はまず有り得ない。学年も違うしな。
すでに記憶からはあいつは消えつつ、生徒会長の言葉を頭の中で反復させていった。
まさか、数日後また会うなんて、これっぽっちも考えて無かった。
リョーマさん女体化の跡リョです。
のんびりほのぼのやっていきたいの、です、が………
跡部様の口調わからなすぎて泣けます。
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