試合 [ 16/18 ]
その日は部活動が本来出来ない日で、
噂によるとチビが榊先生に頼み込んだらしく、コートが一つだけ使えることになった。
暇をもて余した生徒や、チビに敵意を向ける生徒が集まって、ギャラリーの数は物凄い。
そのギャラリーが今、水を打ったように静まりかえっている。
『You still have lots more to work on.』
話しは遡ること数十分前。
「あ!跡部と滝と樺地!おせーよ!」
「ねえねえまだまだー?」
「珍しくジローの奴が起きてるぜ。」
「マネージャーさん、どうするんでしょう…。」
「ん?ほら試合はじまんで。」
「皆そろってるね。やるねー。」
「お前ら全員暇かよ………」
女子テニス部コート近くのベンチ。
見ると氷帝正レギュラーがそろっていた。
「だって他にやることねーし。」
「そーそー。それにあの子特別コーチとかいってたやろ?お手並み拝見や。」
そう言ってコートに立っている越前リョーマを見る。いつも部活の時に着ている氷帝ジャージの袖をめくっていることから随分やりにくそうだ。
審判は女テニの部員がするらしい。チビと戦う相手はどうやら女テニの正レギュラーらしく余裕の表情だ。お互いに位置についた。
「越前サービスプレイ!」
数回ボールをつき、高く上げる。右手に持っているラケットで打ち出す。
「綺麗なフォームですね……。」
ボールは予想以上の速さで相手コートに向かっていく。
「でも相手の近くだぜ?」
宍戸が言うように、チビのボールは相手のすぐ近くでバウンドした。相手も打ち返そうとしたとき。
「!!?なんだよあれ!!ボールが顔の方に跳ね返ったぞ!!」
「ツイストサーブ……ですよね?あんなキレ、大人でも……。」
なんでもなさそうにあいつが打ったのはツイストサーブ。そう簡単に打てるものではない。
「また、ツイストサーブや。」
あの細い体から生まれているとは思えない程の鋭い球。正レギュラーから次々と点をとっていく。
「ん?サーブ交代か………。」
今度は相手がサーブを打った。こんな野次馬の目の前で一年、しかも部員でもないのに負けるのはプライドが許さないのか、とても力強いサーブだ。
今度はさっきまでとちがく、長くラリーが続く。
「これ、どっちが押してると思う?」
「いまんとこは間違いなくお嬢さんやろ?」
「リョーマが勝ちますよ先輩方。暇なんですか?」
向日と忍足の声にかぶせるように声を紛れ込ませたのは日吉だった。
「えっと、準レギュラーの、」
「日吉若です。リョーマ怒ってたので。………それに、まだリョーマは本気じゃない。」
「アーン?本気じゃないってどういう「リョーマは、」
日吉が、一瞬ためて言う。
「左利きです。」
その時、今までざわめきあってたギャラリーがいきなり静まり返った。慌ててチビの試合に目を向ける。
「なんだよ、あれ………」
相手の女子はコートに膝をつき、ラケットは大きく吹き飛ばされている。
チビは汗一つかかず、そして、
「…………オーラ?」
「……、無我の境地ですよ、あれが。」
――――――――
ルールわからなく
試合かけなく
オーラという単語の破壊力で全然書けません」(:3 L)ゴメンナサイゴメンナサイ
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