馬鹿。 [ 15/18 ]



数日前の昼休み。

『リョーマ。お前女テニの一部から嫌がらせされてるのは本当か?』
『女テニっていうか女子っていうか……。まあね。』
『なんで言わなかった?』
『だって若心配性じゃん?俺は大丈夫だから。』

リョーマは、そういって何でもなさそうに笑っていた。



「リョーマ。」
「……若。」

リョーマはテニスコートの脇でいつもの白い帽子を被っていた。
リョーマは昔からそうだ。本当に怒ってる時は顔に出さない。そして本当に怒る理由は大抵自分以外の人が傷ついたとき。

「3年生と試合するのか?」
「随分と早く広まったんだ、その情報。」
「お前いきなり3年生の教室行って試合しろっていったんだろう?どんな下剋上だ。噂ひろまってるぞ。」
「あっ。………なるほどね。ん、まあ、だいたい何かされてきたのは3年のレギュラーの女子だったし。話したってどうせ伝わんないし、喧嘩なんてめんどくさい。ならコレで決着つければいいじゃん。」
「やっぱりテニス馬鹿か?」
「……かもね。」

そういって友達から借りたというラケットを右手に持ち、靴を履き替えた。テニスウェアは突然で持ち合わせが無かったらしく、男子レギュラーのマネージャーの時に来ている上着を着ている。

「でかくて動きにく……。これなら制服でもよかったかな……。」
そういって腕捲りをする。

「右手でやるのか?」
「考え中。」

そういいながらリョーマは右手でくるくるラケットを回しはじめた。


「―――どっちにしろ、俺が勝つから。」




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