裏庭 [ 12/18 ]

全国へ行ける一度きりの大会が始まった。

「やっと地区大会始まったか。なあ樺地?」
「ウス。」
「でも俺らが戦えるんのは関東からなんやろ?」
「あ――!!!早く戦いて―――!!!」
「だからなんでお前ら二人はいきなり現れるんだよ。暇なのか?アーン?」


俺様と樺地しか今はいない生徒会室にちゃっかり忍足と向日が居座っている。こいつら絶対暇だろ。


「てめぇら……暇なら自主練でもしてろ。」
「それがさー、最近先客いるんだよ。」
「先客?」
「跡部、その窓から裏庭見てみい。」
「はあ?裏庭?」

忍足が指す方の窓から裏庭を見る。今は昼休みだが人気の場所ではないので静かだ、いつもは。

ラケットを持った人影が二つ見える。一つは長い三編みをゆらしていて、もう一つは―――

「越前、リョーマ?なんでラケット持ってるんだ?」
「友達の女の子にテニス教えてるんやて。ああみえて友達思いなんやなあ。」

なんでお前が知っている、というつっこみを抑えて、チビを盗み見る。たしかにもう一人、髪が長く三編みの女子にテニスを教えてるようだ。白い帽子をかぶって、制服のままだ。

「あいつ、テニス出来んのか?」
「さあ?あっ、あれ準レギュの日吉じゃね?」
「うん?ほんまや。」


二人が練習している中に入っていく黄色い影。そういえば腐れ縁だとかいってたな。
しばらく三つの影が止まっていると、黄色の影が白色の影の手を掴んでずんずん歩き出した。


「へー!日吉やるう!」
「なんや、仲いいんやなあ。」


そりゃ幼馴染みだからだろ、と思ったが、あんなに仲がいい幼馴染みも珍しいか、というところまで考えて、わーきゃー騒いでる二人を樺地につまみださせた。

二人を追い出して、もう一回見たときはもう誰もいなかった。





別に気になったわけではなけれど。


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