データ [ 10/18 ]
図書室であいつと会ってから数日、実に何ら変わりのない生活を送っている。普通に授業を受け、普通に部活をする、当たり前の日常だ。そう、普通の―――
「跡部部長いますか――?」
ガラッ、とドアを躊躇なく開けたのはあいつ――越前リョーマだった。
大量の荷物をもったこいつが教室がいきなり現れ、回りがざわめく。
「…………なんのようだ?チビ?」
「だから、チビじゃないっす。地区予選と練習メニューについて少し提案があるんすけど。」
「提案?マネージャーのお前かが?」
思わず首を傾げそうになる。そんな俺の言葉にこいつは本当に首をかしげた。
「だって俺特別コーチっていったじゃないですか?勿論榊センセからは許可もらってるすから。」
そうだった。何回もこいつに見せられた榊先生の許可サインが脳裏に浮かぶ。
「まあいい、で?提案ってなんだ?」
「そうそう、まだサンプルだけどこれっす。」
そしてドンッ、と机においた書類。かなりの量だ。下の方にファイルがあり、その上には大量の紙がある。
「榊先生に頼んで正・準レギュラーの今までの試合の結果を全部みせてもらったんっす。それが下のファイルっす。公式な大会はビデオも見ました。で、半分位から上が正・準レギュラーのデータっす。」
「……………………は?」
今、こいつは何を言った?この軽く搭を築いてるこの書類が全部データ?
「俺が見た感じ、とりあえず今の氷帝にはスタミナが足らないっすね。今年の青学は体力UPに力をいれてるみたいで、走り込みを去年の比にならないくらいしてるみたいっす。順当にいけば都で青学に当たるっすからね。体力負けしないようにしないと。」
さらさらと青学のデータまで言うこいつ。ただのマネージャーがここまでするか?普通。しかもまだ入って日が浅い。
『特別コーチ』という単語が頭をちらつく。
思わず黙ってしまった俺を見て、こいつは生意気そうに笑っていった。
「だって、全国へ行くんすよね?」
妥協なんてさせないっすから。
――――――
ポジションは某教授と博士っぽくなるのか……な………?←
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