黒猫 [ 9/18 ]

新しいマネージャーの子は、なんか変な子だ。元々マネージャーは女子禁止らしいし(俺は良くわかんないけど暗黙の了解?らしい)あの跡部にばしばし物を言うし。まだマネージャー(特別コーチ?)になってから少ししかたってないけど、練習とかはまだ見てるだけ。
見た目はお菓子みたいで可愛いのになー、って思ってたらもう昼休みも終わりの時間。あれ?今まで何してたっけ?

「んー!よく寝たCー!」
流石に午後は授業出ないと怒られちゃうから、教室に向かって歩き出したんだけど、
「あれ?」
廊下を歩いている肩よりちょっとだけ長い、染めてない真っ黒な髪。ちっちゃい体。

「マネージャーさん!?」
「……芥川先輩?」
「わ!当たった!こんなとこで何してるの?」
「榊先生に頼まれて選手の資料を…って、芥川先輩また朝練寝てましたよね。」

うっわ〜、痛いとこつくなあ、って思ったら、なんとなくマネージャーさんから違和感を感じた。

「何か違うC…」
「何が…」
「そうだ!上履き!」

マネージャーさんは上履きを履いてなかった。

「上履き?あぁ、朝来たら無かったんすよ。Japaneseのイジメって言うやつっすかね?」
こんな回りくどい事を…ってめんどくさそうに言うマネージャーさん。
「ってイジメ!?大丈夫なのマネージャーさん?」
「別に、平気っすよ。日本のイジメなんてたいしたこと無いし。やりたい奴だけやらしとけば。」
「ダメだよ!それに上履き無いと足怪我しちゃうし…そうだ!」

ぽんっ、と右足の上履きを脱ぐ。

「はい!」
「………………………へ?」
「だから、一個かしてあげる!」

面白いほどポカン顔のマネージャーさん。なんかいつもポーカーフェース?だから新鮮。やっぱお菓子みたいで可愛い。忍足は跡部に何か似てるっていってたけど、俺はそうは思わないなあ。

「気持ちは嬉しいけど無理っす。」
「なんで?俺は冷たいの平気だよ?」
「だって、芥川先輩は正レギュラーっすよ?地区予選も近いのに怪我したらどうするんすか?」

しっかりした言い方。ほんとに心配をしている。

「大丈夫だC〜。それに地区は正レギュラーでないし平気だよ。」
「そういう問題じゃ……それに悪いっすよ?」
「なら、上履き貸す変わりに今度お菓子ちょーだい!」

また、ぽかんとするマネージャーさん。だって、お菓子みたいな子からお菓子もらったらもっとおいしそうでしょ?

「…………芥川先輩って、不思議な人っすね……。」
「?そんなことないC〜」

マネージャーさんはクスクス笑った。

(あ、可愛い。)
なんとなく、素直に思った。
思ってたよりくるくると表情がかわって、まるで猫みたい。

「じゃあ…申し訳ないけど借ります。後、俺の事は越前呼びでいいっすので。……ありがとうございます。あ、そうだ。部活中は寝ないでくださいね?」




ぶかぶかな上履きはあってないけど、本当に嬉しそうに言ってくれた越前さんはひょこひょこ廊下を歩いていった。なんのお菓子くれるのか今から楽しみ。
なんとなくいい気分になったから、また昼寝しにいこう。今ならいい夢が見られそう。
小さい黒猫と遊ぶ夢とかね。







ジローちゃん視点。
ジローちゃんキャラわかんないジローちゃんまじ天使。


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