本文




確かにそれは恋だったんだ。


三成と会ったその時から。


だからその頃の私は言ったのだ。



『死ぬなよ三成』








しかし私は、それをやらなければならない。
この国の為に、民の為に。
これではいけないんだ。
このままではいけないんだ。





グシャア




腹にめり込んだ拳に内臓が破裂するのを感じた。
これで最後なのだと、これは私の望みであり、決心であるのだと、無意識に、そして瞬時に、自分の脳味噌へと叩き込む。
ああ、こんなにも私は、変わってしまったのだろうか。





『いえ…や…す……』





ドスンと彼の体は地球に全体重を預けた。
この時から、石田三成がこの世から消えた事がわかる。





『ああ、やっとお前にふれることができるんだな。』





そう私は彼を抱き締める。
やっと、抱き締められる。



きっとこれ以上の幸福はないのだろう。







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