クラス対抗リレー

丸井くんはしばらくして帰ってきた


『おかえり丸井くん』

「おう」



蕣ちゃん、どんな話したんだろう

「次のクラス対抗リレー頑張ろうな!」

『うん...!』






それぞれ走る位置へ移動する


ピストルが鳴り響き、クラス対抗全員リレーが始まった
















私たちのクラスはトップから2番目を走っている

私次第で紅組の優勝が決まる



ここで失敗してはいけない

100m先にいる丸井くんにバトンを繋ぐんだ





「桜宮!」


しっかり前走者からバトンを受け取る




運動神経が良くないので前にいる人を抜かすというのは至難の技


次々と抜かされていく


せっかくみんなが繋いでくれたのに....




けどこの先で丸井くんが待ってる

どんなに辛くても、しんどくても、泣きたくても
丸井くんが励ましてくれたから....


気を負わなくていいって
素直に話せばみんなわかってくれるからって...



そのおかげでテニス部のみんなに出会って撫子ちゃんと友達になって

返しきれない恩を丸井くんは与えてくれた




だからせめて今は、丸井くんの力になりたい

みんなの力になりたい



一人でも多く抜かさないと...!




丸井くんにバトンが渡るまであと10m


そして丸井くんは助走を始める





届け....






『丸井くん....!』


そう言って手渡したバトンはしっかり丸井くんに繋がった



そして見る見るうちに抜かしていく






すごい...


全クラスの人が丸井くんの追い上げに釘付けだ



だって最下位で繋がった私のバトンがもう1位2位を争う位置に来ている




丸井くんはやっぱりすごいな...



そしてゴールテープは丸井くんが切った















「っしゃああ!1番だぜぃ!」

みんなが丸井くんの周りへ集まっている



「まいちゃんは行かなくていいの?」

『....うん。ここからでいいや』



みんなとハイタッチを交わしている姿を見てやっぱり丸井くんは私の憧れだと実感する


すると丸井くんがこちらに向かって走ってきた

「よく頑張ったな、桜宮」






え...?





『けど私最下位だったし...』


「諦めずに走ってくれたおかげで俺もやる気が出たんだ。桜宮が頑張ってんのに俺が頑張らなきゃ後味悪りぃしな」



そんな...丸井くん


『私のこと買い被りすぎだよ...』

「桜宮は自分のこと卑下しすぎだろぃ」




丸井くんは優しいからそう言ってくれるんだろう
私は本当に何も出来なかった



「桜宮は自分なんてって思ってるだろうけどさ__」

視線を僅かに落として丸井くんは話す





「スッゲェ頼りにしてるんだぜ、お前のこと」


『私を....?』


「実は幸村くんがさ、俺たちのマネージャーしてほしいって言ってたんだ。俺に的確なアドバイスをしてくれたのを見込んで」


幸村くんが...?

あの次期部長と謳われている幸村くんが直々に...




『私なんかでいいのかな...?』

「当然じゃん!幸村くんが言ってんだし!」




まさかのスカウトに驚きを隠せない

けど丸井くんたちの力になれるなら私も全力で支えなきゃ











体育祭は無事に終え、海原祭という巷でいう文化祭の準備をしていた


けれども一年生は特に催し物はしない

海原祭がどういうものなのかを学ぶ身らしい







「すっげぇな...」
『これが海原祭かぁ』


周りの装飾や先輩たちの催しがすごい

中学校の文化祭とは思えないほどのクオリティの高さ





来年は私たちも先輩たちのようにできるだろうか

少し不安になった





こうして丸井くんと一緒に海原祭を楽しんでいると女の子たちがこちらを見る


体育祭で大活躍した丸井くんは学年を飛び越えて一気に人気者となった

そして差し入れされるお菓子も倍に増えた




その度にどこかもどかしさを感じる

その正体に気づくまであと少し

[ 24/38 ]

[*prev] [next#]

[しおりを挟む]



人気急上昇中のBL小説
BL小説 BLove
- ナノ -