中編小説 | ナノ



硝子の夜の鎮魂歌 B
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『動かないで』


砂浜に佇む彼女の絵を描き始めて数時間。沈黙ゆえの重苦しい雰囲気に慣れつつあるボクと、相変わらず居心地悪そうなユーリア。

何度咎めても彼女は身体を動かして、今にも駆け出してしまいそうでこっちまで落ち着かない気分になる。


「う、うん・・・」



何か言いたそうに口を開くけれど、ボクの目線に気付く度そっと閉じる。

描いてって言ったのは君でしょ?なんて文句を言いたくなるけれど、彼女の性格をだんだん理解してきたボクはどこか申し訳なく思えさえもして。

ボクの顔色を伺うユーリアの視線を避けるように、フードで視界を遮り手元に集中する。





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