硝子の夜の鎮魂歌 A1/10 薄いカーテンを開くと、相変わらず分厚い雲が空を覆っていた。手を差し出せば見えない霧雨が青白い手を濡らす。ここ数日続いた雨ももうじき上がるだろう。そうすればやってくるのは、男が最も嫌う季節。『・・・邪魔』男は床に散らばるキャンバスを踏み歩く。・・・夏が来る前に掃除をしなければ。まずはキャンバスを処分しよう・・・男はどこかしらけた気持ちで、曇った窓ガラスに手をかけた。 ≪|≫ 「#ファンタジー」のBL小説を読むBL小説 BLove - ナノ -