中編小説 | ナノ



最後の恋 B
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***



『ただいま!ママ!』


がちゃりとドアが開く音がして、えっちらおっちらと小さな影が入ってくる。片手にポシェット、もう片方の手にりんごがふたつ。小脇には紙袋を抱えている。


「おかえり、アリー。ちゃんとおつかい出来たかな?」


『うん!できたよ!』




にこにこと楽しそうに笑うアリー。キッチンに立つユーリアはふとアリーが大事そうに抱えている紙袋に気がつく。


「どうしたの?それ」


『もらったの!絵本だって!』


嬉しそうにはしゃぐ我が子の頭をなでながら、紙袋を受け取り中身を確認する。中から出てきたのは、赤茶色の表紙。


「まぁ!こんなにいい本・・・」


『ねえねえ、なんて読むの?』


タイトルを指さしながらアリーが絵本を覗き込む。その目はキラキラと輝いていて、早く読みたいと言わんばかりにぴょんぴょんとテーブルに手をつき跳ねている。


「不思議の国のアリス・・・よ」









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