最後の恋 A1/6
『・・・・・・・・・・・・』
『・・・あなた』
さっきまで声を荒げていた男は
寝室の窓辺から静かに外を見下ろしている
『・・・・・・行ったか』
『・・・・・・・・・・・・ええ』
どこか遠くを見つめて
ひとつため息をついて
『子供とは・・・親の思い通りにはならんもんだな』
丘の頂上からゆっくりと現れる朝日が
静かに存在感を放って眩しい
『これもユーリアが大人になったということですよ・・・』
『・・・』
『巣立つ鳥を引き止めようとする方が無粋というものです』
『・・・そうかもな』
小さなため息が、冬のしんとした木々に消えた。
≪|≫