BLACK SHEEP @3/5
『誰かな?』
広い礼拝堂に響く声。
逆光でよく見えないけれど
その人影はビクッと振り返ったのがわかる
んーあれは確か・・・
数日前に編入してきた・・・
『ユーリアちゃん?』
「!・・・はい・・・」
淡い榛色の髪
見慣れないベルベットの制服は女生徒のもの
透き通る赤い瞳には涙が浮かんでいて
『どうしたの・・・』
「・・・ごめんなさい」
たっと駆け出し、
僕の横を通り過ぎようとする彼女
編入式のとき見たきりだけど
やっぱりこの子・・・なかなか美人だな。
『待って』
ぱっと彼女の腕をつかんで引き止める
胸に下がってる銀のロザリオがたゆたう様に揺れて
『どうやって入ったの?』
「・・・・・・入っちゃいけませんでしたか」
『いや、いいけど。ホームシック?』
誰でも最初はなるもんだよ、と
頭をさらさらと撫でる
・・・すごく嫌そうな顔したね、君。
「ここ、好きなんです」
『へぇ』
この学校面白みないもんね、と
長椅子に腰掛ける俺。
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