中編小説 | ナノ



BLACK SHEEP @
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『誰かな?』



広い礼拝堂に響く声。
逆光でよく見えないけれど
その人影はビクッと振り返ったのがわかる



んーあれは確か・・・
数日前に編入してきた・・・




『ユーリアちゃん?』



「!・・・はい・・・」




淡い榛色の髪
見慣れないベルベットの制服は女生徒のもの
透き通る赤い瞳には涙が浮かんでいて




『どうしたの・・・』



「・・・ごめんなさい」




たっと駆け出し、
僕の横を通り過ぎようとする彼女


編入式のとき見たきりだけど
やっぱりこの子・・・なかなか美人だな。




『待って』




ぱっと彼女の腕をつかんで引き止める
胸に下がってる銀のロザリオがたゆたう様に揺れて




『どうやって入ったの?』


「・・・・・・入っちゃいけませんでしたか」


『いや、いいけど。ホームシック?』



誰でも最初はなるもんだよ、と
頭をさらさらと撫でる


・・・すごく嫌そうな顔したね、君。




「ここ、好きなんです」


『へぇ』




この学校面白みないもんね、と
長椅子に腰掛ける俺。










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