中編小説 | ナノ



Solitude A
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もうとっくに先輩の中に私はいない。
それに・・・先輩が簡単に浮気するような
男じゃないことも知ってる。


だってずっと・・・
先輩だけを見てきたから





・・・これでよかったの
先輩が私の恋に終止符を打ってくれたの


なのに、何故・・・


私が落ち着くのを待ってくれる先輩
お互いに次の言葉は探り探りで


無言でグラスを一気に空けると
もうやさぐれた事しか思い浮かばなくて


アルコールで浮いた思考は
ついに暴走を始める





『落ち着いた?』


「はい」


『じゃあ出よう』






どうせ叶わない想いなら
いっそ衝動に駆られてしまおう




乗り込んだエレベーターの中で
先輩の背中に頬を寄せる


『・・・ユーリア?』


「先輩」



先輩は驚いてはいるけど
決して私を引き剥がそうとはしない




「一度だけ・・・」




先輩の腕を引っ張り
無防備な唇を奪う



もう後悔なんてしない
次に向かって歩き出すために




「思い出を、ください」


『・・・!』






差し入れる舌
滴る水音
甘いアルコール
そして・・・醸し出す卑猥な雰囲気









彼の理性が壊れるまで
あと、2秒。








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