悲しい恋をする君に1/5
・・・・・・あの悪夢のような一夜から数週間
俺達が慕った監督生たちが学園を追われ
一時は騒然とした学園も徐々に
落ち着きを取り戻しつつあった。
いなくなった先輩達
それはそれとしてもう一つ
何か欠けてしまったような気がしてならない
『チェスロック』
『んぁ?何だァ脳筋』
『聞きたいことがある』
〈いかなる時も学友に心を配り
愛を以てこれを助けること〉
俺等の秩序たる校則の中の一節
教育、伝統とは何たるかを身を以て知った今
校則に踊らされるつもりは毛頭ないが
『マリアを最近見かけないが』
『・・・あァ』
『心配だ』
チェスロックは何か知っているのか
紫寮の元監督生、バイオレット先輩にいつも
金魚の糞のようにくっついていた女生徒の事を
あの日以降、はたと彼女を見かけなくなった。
ただ学友として彼女のことが気にかかる。
『・・・辞めたぜ』
『な!?』
『先輩追っかけて退学した』
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