短編小説 | ナノ



誰が猫だって?
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『ふぁ───・・・。マリア』



後ろから私に抱きつく先輩
肩にあたる髪がくすぐったくて
つい顔がほころぶ



「お仕事飽きたの?」


『ひとやすみ』



何もってきたの?と
手元のトレイを覗き込む先輩。



彼は自室で監督生のお仕事中。
私はその傍らで食堂から持ってきた
軽食をテーブルに並べる。


ほかほかと湯気の立つ銀のポットに
キュウリのサンドウィッチと
フィッシュアンドチップス。
甘いもの好きな先輩の為に
サクサクの焼きメレンゲ。



『・・・ん?』



ふとテーブルを眺めた彼から
流れる何だか不機嫌なオーラ



『・・・』


「どうしたの?」


『ボクその魚のキライ。』



・・・マジか。
持ってきちゃった。



「えぇー・・・食べない?」


『食べない。』



わがままだなぁ、とは思うけど
何だか可愛く思えてしまうのは
私が彼に甘いせいだろう



「どーするの?」


『いらない』



拗ねたように言う彼
本当にわがままで猫みたい
あ、猫は魚すきだった
このご飯どうしよう


と、逡巡していた矢先・・・
身体がふわりと空を舞う





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