Catch me if you can2/4
『は、速っ・・・待てって!』
「先輩なんて大嫌い!」
蔦の絡まるアーチをくぐって
赤煉瓦の壁をよじ登って
バラ園の中を行ったり来たり
後ろから腕を伸ばす先輩を撒くように
『待てって!』
「嫌よ!」
バラ園は広くて迷路のような構造で
泥濘む地面に足をすべらせながら
レースが重なった豪華なドレスを
たくし上げて裸足で走り回る
『な・・・っ、何でそんなに速いんだ・・・ッ!』
「レディを舐めてもらっちゃ困るわね!」
なんだかだんだん楽しくなってきて・・・
たまに振り返ると
付かず離れずの距離を時々見失いながら
長髪を振り乱して追いかけてくる
先輩の必死な顔が可笑しくて・・・
結局何分くらい走り回ってたんだろう
バラ園の奥の奥、行き止まりでようやく腕を掴まれる
お互い泥だらけで汗だくで・・・
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