短編小説 | ナノ



Catch me if you can
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『は、速っ・・・待てって!』


「先輩なんて大嫌い!」



蔦の絡まるアーチをくぐって
赤煉瓦の壁をよじ登って
バラ園の中を行ったり来たり
後ろから腕を伸ばす先輩を撒くように



『待てって!』



「嫌よ!」



バラ園は広くて迷路のような構造で
泥濘む地面に足をすべらせながら
レースが重なった豪華なドレスを
たくし上げて裸足で走り回る




『な・・・っ、何でそんなに速いんだ・・・ッ!』



「レディを舐めてもらっちゃ困るわね!」




なんだかだんだん楽しくなってきて・・・


たまに振り返ると
付かず離れずの距離を時々見失いながら
長髪を振り乱して追いかけてくる
先輩の必死な顔が可笑しくて・・・



結局何分くらい走り回ってたんだろう
バラ園の奥の奥、行き止まりでようやく腕を掴まれる
お互い泥だらけで汗だくで・・・








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テーマ「人外ファンタジー」
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