短編小説 | ナノ



Catch me if you can
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先輩のバカッ!



「なんなのよこれー!!」



たまたま彼の部屋の絨毯につまづいて
たまたま彼のベッドの傍らに転んで
たまたまその下が見えただけなのに・・・



「何でこんなもの隠してるのよー!!」



埃ひとつないベッドの下に腕を突っ込んで
引きずり出してめくってみると

裸婦、裸婦・・・また裸婦・・・
大男に組み敷かれる裸婦・・・
3人の男にいたずらされる裸婦・・・
窓に手をつかされて後ろから・・・ッ・・・裸婦・・・


・・・先輩はこのレジーナみたいな子が
好みだったの・・・!?


言葉にするのもはばかられるような
挿絵の繰り返しに阿鼻叫喚しそうになったところで
持ち主が何も知らずに帰ってきた



『・・・あ!!』



「・・・・・・・・・」



一瞬青い顔をしたかと思えば
私の白い目をやり過ごし
さっといかがわしい本を拾い上げる



『・・・・・・素晴らしい作品だろう?』



「・・・・・・・・・ええとっても」



皮肉たっぷりに言い放つと
しまった、といった顔で
本をベッドの上に放り投げる


その顔・・・他の先輩達に
見せてやりたいわ・・・・・・



『・・・あー、この本はな、ほら、なんだ』


「・・・・・・」


『アレイストおじさんに貰ったんだよ』



あの人にもらった本なんて
どう考えても怪しいじゃない!




『・・・あのロレンスも読み耽った本だぞ?』


「・・・エドガーのバカ・・・エロガー!!」


『エロガーとは何だ!っておい!』




彼の部屋を飛び出して
ヒールを脱ぎ捨てて
邸宅の大きな扉を開く







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