短編小説 | ナノ



Acid Kiss
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くすんだグレーの夜空
星なんか見えない
なんだか頭に靄がかかったみたい



もう彼の事で頭いっぱいで
やたら身体の奥が疼いて
ぼんやり見える満月は低い場所から
火照る身体を見下ろしてる




最近知った
24時に来るの
湖に浮かぶ芝生の奥
白鳥宮に



今日、私は彼に
勝負をかけようと思ってる
もう…限界だから
これ以上秘密になんてできない




「…あれ。おはよう」




きた。
おはよう?こんな時間に?




「おはようございます」




いつものソファに腰掛ける彼
私のことなんか気にもとめてないのね




「バイオレット先輩、眠れないんですか?」




「うん。眠り浅いから」




ここ落ち着くし、とか言って
いつもよりくつろいでる
無防備な姿が彼らしくなくて…




もう、なんかごちゃごちゃして
やってらんない
はしたなくたっていい
もう想いが爆発しそうだから




「せんぱい」




背後から呼んでみる



「何」



振り向いた先輩の
毒気を帯びた唇を奪ってみる
少しだけ濃厚に




「んぅ……何、挨拶はさっきしたでしょ」




少しは驚いてもくれるかと思ったけど
何よその反応




「ね、せんぱい。
……誰にも言えないこと、しよ?」








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