紅い秘事
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部屋で資料をまとめ終わり、ほっと一息。
と言いたいところだが、レドモンド先輩は今日中と仰っていた。
もう消灯の時間が迫っている。
急いで持っていかないと。マリアは資料を片手に部屋を出た。
『あ、マリア』
聞き慣れた声にふと振り返る。
バイオレット先輩がこんな時間に談話室にいるなんて珍しい。
他にも寮生たちがいるから、あんまり深い話はできない。…けど。
「あっ、先輩」
『どこ行くの?』
「レドモンド先輩のとこです。頼まれてた資料があって…それで。」
先輩は画板からふと目線を上げて。普段見られない柔らかい笑顔で。
『雨降ってるし真っ暗だよ。一人で大丈夫?』
イメージないけどやっぱりウェストン校の生徒。
先輩は紳士だし、これは彼の個性だけどすごく優しい。
こんな先輩は私だけの特権かと思うと、浮かれてしまいそうになる。
「大丈夫だよ。すぐ帰ります。」
『…そう。気を付けて行っておいでね』
「うん。ありがとう」
『戻ってきたら僕の部屋においで』
他の寮生たちには聞こえないよう、囁くような声で誘われる。
そして、軽いキス。
嬉しくて逸る気持ちを抑えながら、レドモンド先輩の元へ急いで。
レドモンド先輩もきっと待ってるはすだ。
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