短編小説 | ナノ



MONSTERS
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『空腹に耐えられなかったのですね』

「・・・来るな・・・!!」


途端、背後に気配を感じた
驚く隙も与えられず顔を寄せられる


『こんなに散らかして・・・いけませんね』

「!!」


後ろから首筋に噛み付かれ、
強く甘い痺れが脊椎を犯す


「ぁ・・・んっ・・・!」

『吸血鬼の喘ぎ声・・・そそりますね』


口から落ちる赤い雫を
赤い舌で舐め取られて


「誰にも・・・言わないでください・・・っ」

『何をですか?』

「私が・・・」


言いかけた途端、唇を紡がれる
誰にも知られてはならない
闇の中で生きるしかない・・・
私の哀れな運命を



「ん・・・・・・っ」

『言葉に言い尽くせない孤独と餓え・・・』

「・・・!」

『誰にも打ち明けられない秘密・・・』

「・・・な、なに・・・」


『お辛いでしょう・・・?』





・・・ずっと渇望していた一言だった

吸血鬼としての生の中
孤独に苛まれ続けた私にとって
その同情の言葉は・・・


『貴女も私も卑しい溢者同士』

「先生・・・っ」


『今夜忘れてしまいましょう・・・』


後ろから静かに抱きしめられる
冷たいハズの身体に熱を感じて


・・・先生が何者だっていい
騙されてる?それでもかまわない
どうせ神に赦されることは無い


だったら
どこまでも・・・堕ちてやる


「私を・・・壊して・・・」


『ふふ・・・いいでしょう』


差し出された手を取って
今宵、最も浅ましい夜を味わう。






end






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テーマ「人外ファンタジー」
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