短編小説 | ナノ



悲しい恋をする君に
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『そんな・・・
彼女にはまだ未来があったはずだ!
どうして人を殺めた重罪人のためにそこまで・・・』



そこまで言って口を噤む
そうだ・・・周囲は誰一人事件のことを知らない
公の場で話すことは出来ない



『知らなかったな・・・』


『・・・』


『なぜそんなこと』


『・・・お前にゃまだわかんねーんじゃねェの』



俺にも分かんねぇわ、と言い残し
苛立ったように踵を返すチェスロック



取り残された俺は一人考える
おそらく・・・彼女はバイオレット先輩に
慕情を抱いていた。
それは誰の目にも明らかだった。



だが何故・・・男ひとりのために人生を棒に振った?
考えても分からない。



彼女とは特別に親しかった訳ではない
だがただの同級生とも違う


いつもバイオレット先輩のそばにいて
バイオレット先輩も彼女を
ただひとり招待客に選ぶほど信頼していた

いつも白鳥宮で顔を合わせていたし
所謂〈P4組〉の一人と言えるくらい
馴染んでいたのは確かだ




悩んでいることがあるなら
学友の俺達に相談して欲しかった

そう思うといてもたってもいられず
数日後、マリアの実家を訪ねることを決めた
せめて少しでも話を聞いてやりたかった










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テーマ「人外ファンタジー」
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