誰が猫だって?
『ふぁ───・・・。マリア』



後ろから私に抱きつく先輩
肩にあたる髪がくすぐったくて
つい顔がほころぶ



「お仕事飽きたの?」


『ひとやすみ』



何もってきたの?と
手元のトレイを覗き込む先輩。



彼は自室で監督生のお仕事中。
私はその傍らで食堂から持ってきた
軽食をテーブルに並べる。


ほかほかと湯気の立つ銀のポットに
キュウリのサンドウィッチと
フィッシュアンドチップス。
甘いもの好きな先輩の為に
サクサクの焼きメレンゲ。



『・・・ん?』



ふとテーブルを眺めた彼から
流れる何だか不機嫌なオーラ



『・・・』


「どうしたの?」


『ボクその魚のキライ。』



・・・マジか。
持ってきちゃった。



「えぇー・・・食べない?」


『食べない。』



わがままだなぁ、とは思うけど
何だか可愛く思えてしまうのは
私が彼に甘いせいだろう



「どーするの?」


『いらない』



拗ねたように言う彼
本当にわがままで猫みたい
あ、猫は魚すきだった
このご飯どうしよう


と、逡巡していた矢先・・・
身体がふわりと空を舞う



「きゃっ!」



ソファにストンと降ろされ
彼が覆い被さる



『ねぇ』


「っ・・・バイオレット先輩?」


『今ボクのこと猫みたいって思ったでしょ』



す、鋭い・・・
私の前髪をサラリとかき上げると
じっと私の目を見つめる紫の瞳。



「うん・・・ちょっと」


『ほんと心外だな』



いきなり首筋にガブリと噛み付く彼
そのまま首筋を熱い舌が這い
濡れた感触に思わず顎の先が反る



「いっ、あ!」


『覚えといてよ』



先輩の口元がにっこりと笑って
胸元のエンブレムをトントン、と指差す

彼の指先を見つめる私に
かき抱くようにキスをして



『ボクは・・・狼だよ』




紫の狼さんは肉食だったのね。
今更ながら気付いたある日の昼下がり。






_____________________

あとがき



いっこしたの小説のあとがきで
紫先輩はにゃんこって言ったところから
この妄想!笑

いや、先輩は猫ちゃうな・・・って思いました。

そして魚キライだったらいいよ。
私は肉より魚派ですが←

先輩が狼・・・
あかんまた暴走が始まる・・・


prev next

bkm





「#オリジナル」のBL小説を読む
BL小説 BLove
- ナノ -