紫黒の遊撃手




!!捏造クリケットです!!
!!いいところをバイオレット先輩がぜんぶかっさらっていくギャグ小説です!!
!!知識なくても楽しめると思います!!
!!たぶんクリケットには遊撃手っていない!!
!!クリケットのルール間違ってるかも知れません。生暖かい目で見ていただけたらうれしいです!!

!!完全スポコンギャグ小説!!
!!恋愛要素名前変換一切無し!!

!!紫先輩赤先輩キャラ崩壊!!
!!管理人の完全自己満!!
















あれは1888年6月4日
今からちょうど1年前
僕達がまだ先輩方の寮弟だった頃の話だ・・・


天気は快晴、気温もまずまず
絶好のクリケット日和だった


僕達青寮は初戦の相手が悪く
ストレート負けを喫し応援席に戻っていた



この年のクリケット大会は初戦からデッドヒート
赤寮対紫寮の試合は拗れに拗れ
2回終了後も同点のままお互い一歩も引かず
延長戦にもつれ込んでいた・・・・・・・・・・・・







・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・










『赤寮!赤寮!』

『紫寮!紫寮!!』



応援席の声が一段と大きくなる



この回、先攻の紫寮が
監督生のタイムリーにより4点をもぎ取り
勝利に王手をかけていた





『くっ・・・紫寮の投手め・・・』

『あんなのどうやって攻略しろっていうんだ!』


赤寮のベンチ勢が投手を睨む
小さな体のトサカ頭の投手が繰り出す
地を這う変化球に皆一様に頭を抱えていた


『ヒャッハァ!打てるもんなら打ってみろよお耽美ヤローども!!』


『・・・くそっ!』


挑発に耐えきれず立ち上がる先輩を
髪の長い男が制し神妙な面持ちをする


『先輩・・・落ち着いて、まだ打席は残っています』


『レ、レドモンド』



『点差は4点・・・長打1本で同点に追いつけます。幸いあの投手はあと2者で交代・・・こっちは残り3人・・・』



『ああ・・・』



『最後の1人で勝負できます』



『・・・それはそうだが・・・』



『まずは球数を稼ぎましょう。任せてください、最後の打者は俺です。必ず1本決めてみせます』



わあっ、と歓声が上がる。
走る打者。ボテボテの当たりではあるが
運良く守備の間をゴロが抜けていく。


『走れ!走れ!』


必死に声をかけるが、往復は叶わず
片方にたどり着いた時
捕手に返球がはしと捕られた


『くそ、1点か・・・っ』









『あの投手から1点取れただけでもよしとしましょう。・・・それより、先輩』


『どうした』


『紫寮の守備には穴がありますね』


『・・・お前もそう思うか』


『はい』



興奮に沸き立つ赤寮の観戦をよそに
ふたりは静かに相手を観察する

打席の左前方、やや広範囲にたたずむ遊撃手
彼はどうやら参加する様子もなく
ずっと地面を足で叩いている



『あいつはたしか寮弟の・・・バイオレットか』


『あいつは試合に興味がないようで・・・完全に無気力ですね』


『なんという奴だ!守備に穴を開けるとは、紳士じゃない!』


『だがこちらとしては好都合です。奴の守備範囲を抜ければ・・・』


『・・・バウンダリーだな。一気に逆転だ』


『そうなります。ただひとつ気になるのが・・・』


『なんだ』


『・・・奴が遊撃手である、ということです』










遊撃手・・・それは
俊足を持ち、直感力のある選手でなければ
務まらない、いわば守備の要である

無気力試合を行うような奴を紫寮は
果たして遊撃手に置くだろうか・・・
レドモンドは首をひねる




『要注意かもしれん・・・しかし、もはやそこにしか突破口はない』




紫寮の応援席から歓声があがる
見れば投手が6打席を投げきり
マウンドを降りるところだった




『・・・よし、行ってこい』


『・・・はい』



赤寮の打者は残すところレドモンドのみ
この登板を1失点に抑え
マウンドを降りた投手と目が合う

静かにベンチから立ち上がるレドモンド
勝利を確信した紫寮の歓声と
投手の笑い声が高らかに響く



『あと1人!あと1人!』

『ヒャッハァー!レドモンド先輩、ドンマイっス!この試合の白星、オレ達紫寮がもらいますよ!』


『・・・ふん、見ていろ』



打席に立ち、長い髪を高い位置に結び直す
女性達の悲鳴のような黄色い歓声も
今日は聞こえないほど意識はボールに向かう

二度三度素振りをし
バットを高々と構え
レドモンドは投手に向き合った



『・・・こい!!』




一球目。
紫寮の次の投手から放たれた球は
ど真ん中のストレート。


『くっ・・・!』


バコ、という音ともに
芯で捉えきれなかった打球が
地面をバウンドし傍らの守備の手に吸い込まれる。


『なめた真似してくれる・・・!』


初球から速球を投げ込まれ
悔しさに思わずバッドで地面を叩く。
投手は気にせず次のボールを構えた。



二球目。

初球でストレートを見切ったレドモンドは
次もストレートを待った。

彼の高身長への対策か
内角一杯に構える捕手に気付き
レドモンドはやや後ろに脚を構え直す。


球は再びストレート
・・・と思われたが、ミートポイントの
少し手前で球が加速しながらがくんと落ちた。


『なっ・・・・・・!?』


またも防戦を強いられ
球はバットに当たり地面を転がる


『カーブ・・・だと・・・?!』











3球目、4球目、5球目・・・
投げ込まれる球は多彩で
緩急に目が慣れず一向に球が前へと飛ばない


紫寮は投手戦を好みピッチングで勝負する
そう聞いていたがここまで層が厚いとは・・・
レドモンドは唇を噛み締めた

・・・俺が打てないせいで負けるかもしれない
俺を信じて全てを託し、見送ってくれた
先輩に黒星を背負わせてしまう・・・!

手が震え額に冷や汗が伝った、その時





『レドモンドー!頑張れー!!』

『頑張ってー!レドモンド様ーっ!!』




方々から自分の名前を呼ぶ声が
紫寮の歓声の間を縫い耳に届き
・・・はっ、と前を向いた


そうだ、俺はここで負けるわけにはいかない
ここで勝って決勝戦に進んで
先輩達に優勝旗を贈るんだ・・・!


それが、俺達寮弟の役目じゃないのか・・・!!




『くっ、俺としたことが・・・こんなことで弱気になるとは』


ふ、と足元のラインを見つめ笑う
声援は何よりも強い力となり彼の背中を支えた
もう何も怖いものはない
ただ、俺は前を見て振るだけだ!!



『さぁ、次で決めてやる!!』



投手が構える
レドモンドはぐっ、と力強くバットを握った
その瞳は確実に球を捉えていた



『・・・お前の球は・・・』


低い低いアンダースローで投げ込まれた
それは・・・・・・速球ストレート!!


『・・・・見切ったァ!!!』


完全にバットの芯を捉えた打球が豪速で
左前の空を裂いていく



わぁぁぁ!!!と歓声が上がる赤寮
観客席もベンチも皆立ち上がり拳を突き上げ、
誰もが赤寮の逆転サヨナラ勝利を確信し
11人が芝生に駆け込もうとした






・・・・・・・・・その時だった・・・・・・・・・・・・












『バイオレットォォォォオ───!!』





紫寮のベンチから監督生の
全てをかき消す大きな怒号が響き渡った











「・・・めんどくさいな」






たった今まで俯き地面に向いていた男の目が
顔を上げすぐに豪速の弾道を捉えた


「・・・絵が」


動き出す脚
誰もが目を見張る俊足で
バウンダリーライン寸前
数メートル先の落下点に追いつく


「台無し」


一足飛びでわずかにバウンドした打球に食らいつき
ダイビングキャッチを決め
すぐさま上体を起こし体勢を崩したまま


「だよ!!」



撫でた強肩から繰り出される
トップスピードの返球は
あわてて走り出すレドモンドが
ラインにたどり着く前に
捕手のミットにズバンと叩き込まれた


ウィケットはレドモンドの目の前で
捕手によって手折られ・・・・・・










『・・・・・・・・・アウト─────!!!』







駆け出す紫寮の選手達
拳をそっとおろし絶句する赤寮生



がっくりと肩を落とすレドモンドの横を
ファインプレーをキメた野手が汗ひとつかかず
静かに通り過ぎて行った・・・・・・・・・








・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・






・・・それが去年のクリケット大会で生まれた
『紫黒の遊撃手』伝説というわけだ。


・・・もう当の本人は
忘れているかもしれないな。





『・・・なにひとりでぶつぶつ言ってるの?』


ああ、噂をすれば。
画板を片手に持つバイオレットと腹を押さえて真っ青なレドモンドが近付いてくる。


『・・・いや。去年のクリケット大会もすごかったが、今年も面白くなってきたと思ってな』


『うっ!去年の話は・・・やめてくれ・・・っ』


レドモンドには胃腸に来る話だったか。
席を外すレドモンドをバイオレットと見送りながらふたりで話す


『・・・青寮、勝ったんだね。おめでとう』


『ああ、あれは運が良かったというか・・・な。お前達も惜しかったな』


『ボクはクリケット興味無いし。勝っても負けてもどっちでもいいよ。』


『バイオレット、去年のクリケット大会の1回戦、覚えてるか?』


『ああ・・・、なんだっけ、レドモンドが負けてお腹壊したんだっけ』


『そういえば去年も腹下してたな・・・』





・・・やはり本人は忘れているようだ。


こうして『紫黒の遊撃手』は
後世に語り継がれる『好プレー』となったのだった・・・









おわりっ☆




あとがき

いやあ、アホですみません!
エロ小説サイトの小休止的小説ですね!

でもいままでで一番楽しくかけましたwww


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bkm





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