貴方のカノジョなんだから



ある日の朝。
いつものように先輩の部屋に朝食を運ぶ。

今日はすっきりと晴れてて・・・
仄暗い紫寮の階段にそぐわない
明るい光が差し込む。


彼の部屋は紫寮の最上階。
階下の食堂からワイワイと騒音が聴こえる。
・・・先輩、うるさいの嫌いだもんね。



「おはようございます」



『・・・・・・』



よく寝てる・・・
いつもなら私のノックの音が
目覚まし代わりなのに。
最近忙しかったから当然かな。

でも今日先輩は確か
一限目から授業がある日。

かわいそうだけど・・・起こさなきゃ。




「おはようございます先輩・・・起きましょ」


『・・・ん・・・・・・』




テーブルに朝食を起きながら声を掛けるが
もぞもぞとシーツが擦れる音がするだけで
一向に起きてくる気配はない。



「先輩・・・」


『・・・・・・・・・』



先輩の少し開いた唇にそっとキスをする
ん?なんだかいつもより・・・
唇で感じる彼の吐息が熱っぽい・・・?


赤みがさした彼の額にそっと手を置く



「先輩・・・ちょっと」


『・・・う』


「大丈夫?」



あっ・・・・・・つい!
先輩の額はぼわっと熱くて
思わず手を引いてしまいそうなほど。



『・・・・・・マリア・・・?』


「起きないで・・・寝ててください・・・!」


『・・・う、なんか・・・だる・・・』



大変!
考えるよりも先ずは行動しなきゃ・・・


・・・まずは着替えね!
ぐったりとして大汗をかいている先輩
勝手知ったる部屋から
新しいタオルとナイトウェアを取りだす



『先輩ー朝っスよー』


「チェスロック!」


あまりに先輩が起きてこないから
チェスロックも心配して来たみたい。
先輩の現状を見て流石に驚いてる。



『先輩!どーしたんスか!』


『あー・・・・・・・・・・暑い・・・・』


「チェスロックー体温計と洗面器と氷水ー」


『お、おう!』



すぐに事態を把握して
バタバタと階下に戻っていくチェスロック
そのあいだに先輩を着替えさせる





「とりあえず着替えましょう」


『・・・ん・・・』



ボタンをひとつひとつ外し
じっとりと濡れたシャツをはだけさせる


先輩はぐったりとチェストにもたれかかって
とろんとした目で私の手元を見つめてる


・・・ふと至近距離で先輩の赤く濡れた瞳と目が合って・・・



『・・・・・・ごめん・・・』


「・・・いえ、」



ちょっと熱にうかされてる先輩が
扇情的、とか言ってる場合じゃないけど

ちょっと・・・かなり・・・艶っぽくて困る。



「ふ、拭きますね・・・」


『いいよ・・・シャワー浴びる・・・』


「いけません!」



思わず口調が強くなってハッと我に返る
だって、いつも私ばかり先輩に尽くしてもらって・・・

こんな時くらい、貴方のためになりたいもの。
それが女心ってモンでしょ?




「今日くらい・・・私に甘えてください」


『・・・マリア』


「タオル濡らしてきます」



ベッドサイドを立とうとしたその時
先輩の手が私の手をそっと握っていることに
気がついた

するりと抜けそうになる手を
熱くしっとりした手がぎゅっと掴む



「先輩?」


『マリア・・・いい』


「でも」



くいっと手を引かれて
私はもはや抵抗せずベッドに座る

だって・・・
やたら先輩がわがままで・・・可愛くて

母性ってこういう気持ちの事を
言うのかもしれないって
微笑みながらふと思う



『マリア・・・ここにいて』



弱々しい声で私の名前を呼んで
縋るように抱きついてくる
肩に熱い息遣いを感じて私まで熱くなって

嗚呼、やっぱり私は貴方に弱いの



「もう」


『・・・おねがい』


「・・・今日だけですよ」















「うー・・・きついー・・・」


『・・・やっぱり伝染っちゃったね』


『(あんなことしてたら当然だろ・・・)』


「いいもん。先輩の風邪なら」


『・・・ふふ』




『あのな、俺いるからな?』







───────────────────
ぼの様

お待たせ致しましたー!
風邪っぴきバイオレットに
甘えられちゃう・・・
こんな感じでよろしかったですか?(-´∀`-)

書きながら私も
「かっかわい・・・かわ・・・ヒェーーーー!!」って
叫んじゃいました!嘘です!
心の中で叫んでました・・・!!

バイオレット先輩ってきっと
甘える時はとことんだと思うんですよね・・・
途中からチェスロックの存在を
忘れてたとかそんな事は無いです!笑

本当にありがとうございます!
今後とも当サイト『Honey』を
よろしくお願いします(*^ω^*)


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bkm





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