!!青の教団編まで
数年後設定という捏造です!!
!!占い師の彼が友情出演です!!
会えなかった数年間。
1日たりとも先輩の事を忘れた日はなかった。
あの日・・・先輩が学園を追われ、後を追うように私も日常を捨て先輩を探した。
先輩の出身地。先輩の贔屓だった画材屋。先輩の愛した美術館。しかし、英国中どこを探しても先輩は見つからなかった。
雲を掴むように日々は過ぎていき、爪痕の痛みにも慣れてきた頃・・・
友人に誘われて来たミュージックホール。
どうやら今英国で流行しているらしい。
広いホールに無料の飲食物、そしてよく当たると評判の占い師の姿。
夜も更け、みんなは楽しそうに踊っているけど・・・わたしはそんな気にはなれなかった。
初めてのダンスの相手は先輩って決めてるもの。
「飲み物もらってくる」
『はーい』
知らない男性と踊る友人を尻目に
人混みを縫うように進んでいく。
ほんと・・・たくさんの人がいる。
富める人も貧しい人も音楽に合わせて
みんな手に手をとって・・・楽しそう。
ふと、長身の青年とすれ違う。
・・・脳ではなく、反射で体が動いた。
「バイオレット先輩!!」
間違いない。フードを被った特徴的なシルエット。そして・・・毎日そばで感じていた香り。
最後にあった時と少しも変わらない、憂いを帯びた瞳。
『・・・』
男は立ち止まったが、振り返らなかった。代わりに、男が持っていたグラスが手から滑り落ちる。
ガシャンと派手にガラスが割れる音は、ノイズにかき消された。しかしそれは、彼の動揺を示すのに充分な証拠だった。
ややあって、男が振り返って。
・・・ああ、やっぱり。
私はゆっくりと近づき、何も言わずに男を抱きしめた。不思議と涙は出なかった。
なんだか・・・きっとどこかで、先輩と再び巡り会えることを知っていたような気がする。
「みつけた」
『・・・君は』
「忘れてなんていないでしょう?」
音楽はなお止まる事はなく。
群衆の真ん中で抱き合う私たち。
やっぱり、私の居場所はこの腕の中だった・・・
「先輩」
『・・・』
「会いたかった」
『・・・』
先輩の手がかすかに震えてる。
それでも、私は彼を離すつもりは無い。離したら・・・またどこかに行ってしまうんじゃないか・・・そんな気がした。
先輩は安心したような、どこか悲しげな・・・不思議な表情で私を見てる。
「今まで何してたの?」
『・・・』
「・・・どうして何も言わないの?」
『・・・』
「ねぇ、先輩・・・」
『にゃはっ!お二人さん!』
先輩が弾かれたように顔を上げ、つられて私も声の主を見遣る。
そこには、優しそうな顔をした、淡い紫色の髪の男が立っていた。さっき・・・どこかで見たような・・・
「占い師の・・・・・・」
『ブラバットね』
つかつかと私たちに歩み寄る占い師。先輩がすっと、私の肩を押して遠ざける。
俯く彼の表情を伺うことが出来ない。
「先輩・・・・・・」
『バイオレット君。お客さんに手を出すのはご法度だよ〜』
『・・・』
先輩の肩をトントンと叩き、何かを耳打ちする。先輩の顔に・・・一層影が落ちる。
嫌な、予感。
「先輩!」
『さ、練習の時間だよ』
先を行くブラバットの
あとを続くように歩き出す先輩。
「いやっ・・・先輩!先輩!!」
コートを纏った背中に縋り付く。
どうして。今会えたばかりなのに。
占い師に何を唆されたの?
どうして何も言わないの?
私のこと・・・忘れたの?
何一つ分からないまま
また貴方を失うなんて・・・絶対に嫌だ。
先輩の足がぴたりと止まる。
『・・・・・・・・・』
微かに聞こえた彼の一言に
全身の力が抜け、すとんと脚から崩れ落ちる
辛うじて指先に引っかかる先輩のコート
それすら無情にもすり抜けて・・・
「先輩・・・っ」
振り返った彼の青白い表情
ゆっくりと動く彼の唇
『ごめんね』
END
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あとがき
Q.微かに聞こえた彼の一言は
次のうちどれでしょう・・・
@『愛してる』
A『助けて』
B『君、誰・・・?』
C『邪魔しないで』
D『続きはwebで』
どれにしようか迷いましたとさ・・・
そして決められませんでしたとさ・・・
私個人としてはAですね!
でもCでもありだと思うんだよな・・・
ここ次第で今後の展開変わるんだけど
もう少し新章が進んだらまた次考えます!