すべて赤い月のせい


Twitterにてフォロワーさんから
頂いたプラスを元ネタに
書かせていただいたものです・・・!!
恐れ多すぎて死ねる・・・死ぬる・・・













本当に彼は・・・


自分勝手でわがままで
いつも私を振り回すの





『今日の夜、談話室においで』



そう言ったわよね。
・・・・・・・・・言ったわよね?
覚えてるわよ、私は。



「もう、いつもいつも!」



なんとなくそんな気はしたけど
やっぱり先輩は居なくて。


確かに目上の者より
先に着くのが社会のルール
・・・っていうのは分かるんだけど


もう真夜中だし真っ暗で
こんな今にも幽霊でも出そうな談話室に
ひとりで居るなんて私の趣味じゃない。



「バイオレットー?どこー?」



まさか闇に紛れて実は目の前にいたりして・・・
なんて先輩ならありえるけど
目を凝らしてもやっぱりいない。
腰に手を当て、ついため息を漏らす。


「後でチェスロックに文句言ってやるんだから!」


独り言で彼の寮弟にまで悪態をついて。
眠りの深いチェスロックをこんなに
恨めしく思ったことは無い。
・・・彼には何の罪もないけれど。


「・・・用がないなら帰るよ?」


鼻息荒く踵を返そうとした、その時。



シャッ!という音が先行し
ベルベットのカーテンが一斉に開く


目の前には窓枠一杯の赤い月が
煌々と夜の闇を照らして・・・



「・・・・・・・・・」



思わず言葉をなくし魅入られる私の前に
黒い影が音もなく現れる



『ねぇ、お月見しよ・・・』



口元の黒い弧が私に優しく語りかける
その声は低く優しく薄明かりに響いて



『・・・一緒に』



・・・卑怯よ、いつもいつも。
自分勝手でわがままな貴方は
そうやって無邪気に私を
絡めとって離れられなくさせるんだから



「・・・・・・っ、先輩のくせに」



『ふふ・・・たまにはいいでしょ?』



華奢な銀枠から差し込む光が
赤い瞳のように私たちを見つめて
彼の目元に長い睫毛の影が落ちる



『・・・狼男は満月の夜、本当の姿になるんだよ』


冷たく黒い指先が熱を帯びる頬を滑り
かじりつくようにキスをひとつ


この頬が赤いのも、貴方を直視できないのも
この心臓が痛いほど鼓動を響かせるのだって、
・・・・・・きっとあの月が赤いせいよ





end


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