星をまたいで会いに来た

教団編レドモンド
















血に塗れた指先では
何かを掴むことはできない




「エドガー・・・大丈夫?」




・・・分かっていたはずなんだが
どうしてこうも俺は・・・

・・・まだ何かを期待していると言うのだろうか



もうこの手には未来も過去もない
「赦されたい」などと
浅はかに希うことも愚かしいのに





『・・・っあ!!』




「・・・エドガー、随分うなされてたわ・・・どうしたの?」




『っ・・・嫌な、夢を見た・・・っ』




「・・・どんな?」




『・・・薄い紫色の髪をした悪魔が・・・・』



「・・・」



『・・・笑うんだ』




「・・・・・・・・・うん」



『お前には未来なんかないって笑って、隣にいる君の首をかき切って・・・そして俺の首も・・・』



「・・・・・・」



『なにか呟いていたが、思い出せない・・・』



「・・・大丈夫よ、エドガー・・・」




隣で狼狽える君の感触を確かめるように
強く強く抱きしめれば
ようやくこれは現実なのだと安堵して
荒い呼吸が整っていく




「・・・・・・夢よ」




・・・ああ、夢だった・・・



そうか、そうだよな・・・





『ああ・・・・・・すまない・・・』





この日、このまま眠ることができなかった俺は
数時間後、いつも通りの朝を迎えた。
いつもと同じ紅茶、同じ笑顔の彼女。


ただ、一つを除いて。





「エドガー、叔父様から何か届いてるわ」





『ん?・・・なんだこれは』





「招待状みたい」






『・・・スフィア・ミュージックホール?』






end


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