限られた世界で愛を探した

教団編バイオレット
ネタバレ注意!!



















好きだから許せないことがある
言葉に出して言えたなら
こんなに苦しくなんてないのに



「どうしてもっと頼ってくれないの・・・?」



ぐったりと横たわる貴方
蒼白な肌に張り付く髪
いつの間にか随分薄くなった胸
左腕の無数の針傷、痛々しい鬱血痕


そんなに私、頼りなかったのかな・・・?
貴方の頬をそっと撫でると
ぱた、と涙がこぼれて



貴方の痛みや苦しみを
全て私が代わってあげられたら・・・


はやく目を覚まして、お願い・・・
こんな姿、見ている私の胸が張り裂けそう




「気付かなくてごめんね・・・」




・・・いやきっと気付いていた
どこかで気付いていたはずなのに
虚構と綺麗事に濁った私の眼は
それを映そうとはしなかった



でも、今日この目でこんな
貴方の姿を目の当たりにして
ようやく私・・・夢から覚めたみたい




私たちの未来は
こんなちっぽけな場所にはないの
ねえ、わかる?
・・・分かってくれるかな・・・?



あなたの目が覚めた時
きっと、それが全ての始まり




「・・・逃げよう」




じっとりと湿る手をぐっと握り
私は涙を飲み込んだ




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