絶望してみせてよ
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「先輩・・・どうしちゃったの・・・?」
恐怖と動揺で涙が出そう・・・
震える声で彼の名前を呼んでみる。しかし、やっぱり事態は変わらない。私はふと幼い頃に見たある生き物を思い出す。目の前の彼の様子はそう、まるで・・・
「蛇みたい・・・」
『・・・動かないでよね』
「っ!いやっ!!」
両の手首にぞわぞわと冷たいロープが絡まって思わず悲鳴を上げる。見れば先輩のコートの裾から白い蛇が落ちて、私の手首に巻きついていた。冷たい蛇が軋んでさらに冷たく締め付けて。
払いのけようにもことのほか強い力で巻き付かれ、抵抗叶わずベッドの枠に手首を固定されたまま動けなくなる。
「やだ!やだ!やめて!!」
『・・・痛くはしないよ』
どんなに悲鳴をあげても今の彼には届かない。早く、早くいつもの彼に戻って・・・!意地悪な神様は聞く耳を持たず、その間に彼がするすると懐に潜り込む。音もなく覆いかぶさって唇を食まれ、途端に呼吸が止まる。
「ん、ん・・・!」
冷たい吐息が口の中に渦巻いて、芯から体温が下がってしまいそう。押し返すこともできず、蛇の体温を受け入れる。
「んんっ、ん!」
『・・・体が冷えてる・・・温めてあげなきゃね』
途端に流し込まれる甘い甘い液体に目を見開く。さらさらと喉を流れて、吐き出そうにも塞がれた唇ではそれも出来ない。
嚥下した喉から胸、みぞおち・・・・・・通過した所がじわじわと熱を帯びていく。むせ返る唇がやっと解放されると、僅かに笑う彼が再び恐怖を煽る。
「んっ!なに!?さっきの・・・」
『どう?美味しかった?・・・毒』
毒と聞いてゾクリとしたが時既に遅し。彼がにやりと笑った途端、すぐに足先まで全身を気だるい熱が冒し始め、私は気持ち悪さに悶えた。
妙に官能的な熱だった。まるで強い酒を煽った時のように、頭が浮ついてやたら疼いて。
「や、やだ、あつい・・・せんぱ・・・」
『大丈夫・・・気持ちよくしてあげるからね・・・』
ふらふらと愉しそうに濃紫色の体液を拭いながら笑う彼。
さらりと冷たい手で脚を撫でられるだけで、じゅわっと下着の中で熱い何かが溢れ出す。
「はぁ・・・だ、だめ・・・っ」
『やらしいなぁ・・・興奮するね・・・』
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