紫黒の遊撃手
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『赤寮!赤寮!』
『紫寮!紫寮!!』
応援席の声が一段と大きくなる
この回、先攻の紫寮が
監督生のタイムリーにより4点をもぎ取り
勝利に王手をかけていた
『くっ・・・紫寮の投手め・・・』
『あんなのどうやって攻略しろっていうんだ!』
赤寮のベンチ勢が投手を睨む
小さな体のトサカ頭の投手が繰り出す
地を這う変化球に皆一様に頭を抱えていた
『ヒャッハァ!打てるもんなら打ってみろよお耽美ヤローども!!』
『・・・くそっ!』
挑発に耐えきれず立ち上がる先輩を
髪の長い男が制し神妙な面持ちをする
『先輩・・・落ち着いて、まだ打席は残っています』
『レ、レドモンド』
『点差は4点・・・長打1本で同点に追いつけます。幸いあの投手はあと2者で交代・・・こっちは残り3人・・・』
『ああ・・・』
『最後の1人で勝負できます』
『・・・それはそうだが・・・』
『まずは球数を稼ぎましょう。任せてください、最後の打者は俺です。必ず1本決めてみせます』
わあっ、と歓声が上がる。
走る打者。ボテボテの当たりではあるが
運良く守備の間をゴロが抜けていく。
『走れ!走れ!』
必死に声をかけるが、往復は叶わず
片方にたどり着いた時
捕手に返球がはしと捕られた
『くそ、1点か・・・っ』
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