短編小説A | ナノ



紫黒の遊撃手
3/9



・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・










『赤寮!赤寮!』

『紫寮!紫寮!!』



応援席の声が一段と大きくなる



この回、先攻の紫寮が
監督生のタイムリーにより4点をもぎ取り
勝利に王手をかけていた





『くっ・・・紫寮の投手め・・・』

『あんなのどうやって攻略しろっていうんだ!』


赤寮のベンチ勢が投手を睨む
小さな体のトサカ頭の投手が繰り出す
地を這う変化球に皆一様に頭を抱えていた


『ヒャッハァ!打てるもんなら打ってみろよお耽美ヤローども!!』


『・・・くそっ!』


挑発に耐えきれず立ち上がる先輩を
髪の長い男が制し神妙な面持ちをする


『先輩・・・落ち着いて、まだ打席は残っています』


『レ、レドモンド』



『点差は4点・・・長打1本で同点に追いつけます。幸いあの投手はあと2者で交代・・・こっちは残り3人・・・』



『ああ・・・』



『最後の1人で勝負できます』



『・・・それはそうだが・・・』



『まずは球数を稼ぎましょう。任せてください、最後の打者は俺です。必ず1本決めてみせます』



わあっ、と歓声が上がる。
走る打者。ボテボテの当たりではあるが
運良く守備の間をゴロが抜けていく。


『走れ!走れ!』


必死に声をかけるが、往復は叶わず
片方にたどり着いた時
捕手に返球がはしと捕られた


『くそ、1点か・・・っ』









「#オリジナル」のBL小説を読む
BL小説 BLove
- ナノ -