短編小説A | ナノ



ブラッディーメアリー
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「・・・はぁ、グレイったら!」


『楽しかったでしょ?せーんぱい』



ホールを離れ
静かなガーデンでようやく彼は止まった
夜風が涼しいそこには誰もいなくて
私たちの声だけが弾んで消える



『・・・ね、マリア先輩』


「急にどうしちゃったのよ・・・」


『・・・一口くれない?なんか疼いちゃってさ』



ほら、今日は人の目があるし・・・と
ため息をつく彼




いつも空腹を訴えている彼の
餌食になった事は一度や二度ではない
彼はいつも制服のポケットに小瓶を忍ばせているが
服装が違う今日はそれもない

・・・小瓶の中身は誰の血液か、
なんて聞くだけ野暮だから
そんなことはしないけれど・・・


返答を待たず私の首を撫でる彼の
瞳が鋭く光る



『マリア先輩が一番好きなんだよ・・・』


「んっ、いいけど・・・っ」


『・・・ありがと』



すぐに首筋に噛み付こうとする彼
牙が触れる寸前で彼の肩を押し返した



「ん!グレイ・・・今日はドレスだから・・・もっと別な場所がいいな・・・」


『どこがいいの?マリア先輩』



私にとっては後輩で、弟のような存在のグレイ

ただ・・・いつもこの時間だけは少しだけ
二人の間を流れる空気が変わる



「見えないとこ・・・」


『曖昧だなぁ』



飲みやすいとこがいいんだけど
なんて彼が呟いて思わず青ざめる



『大丈夫、殺しゃしないって』



そう言うとそっと私の手を取り
手首をそっと返す



『ここは?』


「そこも目立つわよ・・・」



うーんと悩む彼
ガラスの目が光を反射して


はっとひらめいたように顔を上げる彼
・・・少し嫌な予感。


『そっかぁーここでいいじゃん!』


「きゃあ!」



急にしゃがんだかと思えば
私のドレスをがばっと持ち上げ
中に入ってこようとする

慌てて彼の頭を押しても
やっぱり適わなくて・・・
そうこうしているうちに太腿に彼の毒牙がかかる








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