ブラッディーメアリー3/7
名門寄宿学校にまことしやかに囁かれる噂
・・・この学校にはヴァンパイアが存在する・・・
在校生の中にひとり吸血鬼が紛れ込んでいて
夜な夜な血を求めてさまよっているという
名門グレイ伯爵家の嫡男にして剣の達人
そして誰もが振り返る容姿の持ち主
・・・その正体を知っているのは私だけ
彼こそが美しい人の形をした『緑寮のヴァンパイア』
いつでもその透けた瞳の奥に
餓えた獣の眼光を携えている
・・・しかしヴァンパイアは
歳をとらないと思っていたが・・・
「・・・あなたはとりあえず成長してるのね」
『バカにしないでよ・・・ボクだって生きてるんだから』
艶めき笑う彼が
レースの手袋をした人差し指を
口元に立てウィンク
本当は生きても死んでもいない・・・のよね。
彼の正体を考えると少しぞくりとする
『先輩・・・ちょっといい?』
「・・・グレイ!?」
たっとドレスを翻し駆け出す身軽な彼
手をぐっと引っ張られて
こっちにきて、と彼が晴れやかに笑う
私たちの様子に誰もが見とれて
走り去ったところにキラキラ
落とし物のように宝石が輝く
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