短編小説A | ナノ



ブラッディーメアリー
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名門寄宿学校にまことしやかに囁かれる噂
・・・この学校にはヴァンパイアが存在する・・・
在校生の中にひとり吸血鬼が紛れ込んでいて
夜な夜な血を求めてさまよっているという



名門グレイ伯爵家の嫡男にして剣の達人
そして誰もが振り返る容姿の持ち主
・・・その正体を知っているのは私だけ


彼こそが美しい人の形をした『緑寮のヴァンパイア』
いつでもその透けた瞳の奥に
餓えた獣の眼光を携えている


・・・しかしヴァンパイアは
歳をとらないと思っていたが・・・



「・・・あなたはとりあえず成長してるのね」


『バカにしないでよ・・・ボクだって生きてるんだから』



艶めき笑う彼が
レースの手袋をした人差し指を
口元に立てウィンク

本当は生きても死んでもいない・・・のよね。
彼の正体を考えると少しぞくりとする




『先輩・・・ちょっといい?』


「・・・グレイ!?」


たっとドレスを翻し駆け出す身軽な彼
手をぐっと引っ張られて
こっちにきて、と彼が晴れやかに笑う

私たちの様子に誰もが見とれて
走り去ったところにキラキラ
落とし物のように宝石が輝く









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