BAD BOY
4/8
微笑む男はすぐには動かず優しく口付けをひとつだけくれた。それはこれから始まるめくるめく時間の合図。情欲に駆られても私を置いていかない彼が愛おしい。
そんな彼に流される覚悟を決めれば、あとはすべてを委ねるだけ。
依然やまないスコールに隠れてただふたり、小さな世界でお互いだけを感じて唇で熱を伝え合う。
『ん・・・』
「ふ・・・うっ・・・」
『そろそろ・・・動くよ・・・』
余裕の表情を浮かべて、男が律動を始める。ナカに溜まる蜜を味わうような律動。汗が湿気と混じって肌を伝う。
「なんだか・・・・・・っ」
『・・・ん、』
「いつもと・・・ちが・・・っ」
ふふ、と笑う彼のやけに甘く熱っぽい攻め口。ひと突き毎に熱いため息を吐き出して、合間に舌を絡ませて。
「いやぁっ・・・なん・・・っ」
『はぁ・・・キライ・・・?』
「はぁ、きもち・・・ぃ」
呼吸、表情、反応の一つ一つを確かめるような彼の目線を感じる。身体が跳ねるたび男の口角が僅かに上がって、キスを施されて。
華やかな相貌に加えて、雨と汗に濡れた髪が男の艶やかさを引き立てる。
「ん・・・先輩の・・・かたい・・・」
『・・・当たり前でしょ・・・マリアがこんな格好・・・してるんだから・・・・』
男の目線が私の身体に落ちて、今更自分が裸同然であることに気が付いた。
捲りあげられ張り付いた薄白のワンピース、はしたなく開いた内腿、湿気に雨に汗に唾液に濡れた肢体、そして蜜にまみれた彼を飲み込む結合部。
全てが雨に白む太陽の元、男にさらけ出されているのだ。
「やっ、やだぁっ・・・恥ずかし・・・っ」
慌てて腕で隠そうとした時、ゆっくりと男が自身を引き抜き、ぐちゃぐちゃに溶けた最奥を一気に突き上げた。
貫く強い刺激に息が詰まる。頭に真っ白な光が飛び、声にならない悲鳴を上げた。
「────っ!!」
『・・・何隠そうとしてるの』
「────だっ、てぇ・・・っ!」
『許さないよ・・・もっと見せてよ・・・』
濡れた髪をかきあげ唇を重ねる真摯な眼差し。
尚も繰り返される、ずちゅ、ずちゅと愛おしむような抽送。彼のいやらしい動きに合わせて背中がラタンに擦れる。今にも滴り落ちそうなほど、彼の紫黒の瞳がとめどない想いに蕩けている。
「はっ・・・あ・・・っ!」
『気持ちいい・・・?・・・マリア・・・』
「ん・・・あっ・・・言わせないで・・・っ」
『・・・ふふ』
身体の奥底から沸き立つ深い快感。雨とは別の、濃厚で卑猥な水音。吸い込む湿気に酸素を分け合うように、ふたりの吐息が重なり合う。
≪|
≫