短編小説A | ナノ



BAD BOY
3/8









風ひとつ吹かない生ぬるい湿気。亭閣に立ち込めるムスクが服を脱ぐ間も惜しいほどにふたりを駆り立てる。



「あっ、あ・・・せんっ、ふぁ・・・」


『んっ・・・・』



くぐもる声は彼に舌を絡め取られているせい。
彼に抱かれるのはもちろんこれが初めてではない。それでも、こんなに興奮した彼の様子を見るのは初めてだった。



「っ、ここで、その・・・」



『・・・ん』



「・・・最後まで・・・するんですか・・・?」



『・・・それ、今聞くの?』



無粋を働いたお仕置きと言わんばかりに、彼が濡れた服越しに胸の突起に噛み付いた。思わず上がる甲高い嬌声に口を覆う。その手を強引に剥がされ指が絡まる。



『やっとふたりきりなんだよ・・・』



「あぁ・・・!や、だっ・・・」



『ほら、もっと声出して・・・』




・・・こんなに悪い監督生はかつていただろうか。雨を口実に人目を避けて、恋人との逢瀬を愉しむなんて。

黒銀のベッドもチュールレースのクッションもコットンのシーツもない。四方を囲む壁すらないこの亭閣。あるのは、ふたりの身体を載せるオリエンタルなソファと淫靡な空気だけ。



「誰かに見られたら・・・どうするの・・・?」



『・・・その時はその時』



更々やめるつもりなどないらしい彼のシャツの胸元を掴む。とっくに麝香にヤラれた彼の紫眼からは、ためらいなど微塵も感じられなかった。

最後にもう一度意思を確かめるように、彼の名前を呼ぶ。




「バイオレット先輩・・・っ」


『・・・ダメ。止めないよ』


「・・・あっ!ああっ・・・!」



いつの間にかぬるぬると入り口を滑る彼自身。香と愛撫ですっかり溶けた蜜花は既に彼を飲み込もうとしている。ぐちりとあてがわれたかと思うと、粘液に絡まる彼をズブズブと奥まで咥え込まされた。




「あ・・・っ、ん・・・」


『・・・・ん・・・いい子・・・』









人気急上昇中のBL小説
BL小説 BLove
- ナノ -