短編小説A | ナノ



La Danse Macabre
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ロイヤルパープルの美しいドレスは先輩が選んでくれたもの。歩調を合わせてくれる彼の腕を頼りに、一歩一歩を確かめるように慎重に歩く。どうしても下を向いてしまう私は、まだまだハイヒールも履きなれていない未熟なレディ。せめて先輩の恥にならないよう、卒なく振る舞わねばと肝に銘じる。・・・が、やはりドレスの裾を踏んでしまい前につんのめる。転びそうになったところを先輩が支えてくれて事なきを得た。


『大丈夫?まだデビューして間もないんだから・・・無理しないで』


「・・・あ、ありがとう・・・」


『・・・似合うね、そのドレス』


優しく微笑む彼にしばし見とれる。真っ白で壮麗な豪邸の内装が彼の華やかな相貌を更に引き立てる。紫寮のゴーストなんて普段の彼しか知らない生徒達は彼を比喩するけれど、今日の彼を見ればそんなメージなど吹き飛ぶことだろう。

普段は学園の中で一つ屋根の下、忍ぶ恋をしている私達。しかし、一歩外に出れば行き交う人々と何一つ変わらない恋人同士。休暇中はバイオレット家の別荘で共に過ごし、こうやって行事があれば共に参加するのが、彼と付き合いだした数年前から決まった私の休暇の過ごし方だった。

久しぶりの夜会に倦怠感を隠せない彼に導かれ、食堂をあとにする。ふと、回廊の中央で彼の脚が止まる。見上げる目線の先には、重厚な石膏の枠に嵌められた銅版画があった。大きな絵画に見えるそれは、小さな絵画を寄せ集めて一枚の作品として見せているものだった。その一枚一枚に目を走らせ、マリアは大きく目を見開く。


「何この絵・・・っ」


『死の舞踏・・・随分な趣味だね・・・』









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