短編小説A | ナノ



共通性感帯
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私の手を取ったまま
片手でマニキュアの小瓶をくるくると開け
無言で刷毛を取り出す先輩



「・・・先輩?」


『・・・』




静かに1本ずつ塗られていく先輩と同じ漆黒
私よりも数倍手際が良くて




「ん、なんか・・・ほんと・・・」


『・・・』


「変な感じっ・・・」




ひやりとしたネイルが指先に施される度
ぞくぞくと何かが沸き立つようで・・・
くすぐったさを通り越して・・・ヤラシイ。



『・・・ね』



無音の中で私の手を見つめる
先輩の長い睫毛も、華やかな相貌も
真剣な眼差しと相まっていっそう官能的



指先を丁寧に愛撫されているような錯覚

なんだかふたりだけの世界にいるみたい




全て塗り終わる頃には耳まで熱くなって
まだネイルの施されていない方の手で
思わず顔を覆ってしまう

先輩の顔が見れないほど意識してしまって
目を開けることが出来ない。


なんだか少女みたいで・・・恥ずかしい。





『ね、なんか・・・エロいよね』


「・・・・・・・・・・・・うん」




『ボクたち指先が性感帯なのかも』






end





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