短編小説A | ナノ



共通性感帯
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先輩の手を優しく取って
丁寧に塗っていく


ひと塗りひと塗り呼吸を整えて。
よれないように、はみ出ないように。
色にムラが出ないように、そっと
先輩の指先を刷毛で撫でていく



指1本仕上げるのに
酸欠になっちゃいそう。




「はぁ・・・っ」




『・・・ふふ』




最後の指。

ふぅと息を吐く。


「・・・」


刷毛の余分な塗料を落とし
爪に毛先を置こうとした・・・その時。




『・・・・・・なんか、クる』



「・・・ぷはっ」





ボソリと呟いた先輩の一言に
知らずに止めていた呼吸が急に蘇る







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テーマ「人外ファンタジー」
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