優しい死神
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「ん、ここら辺でいいかな」
『・・・・・・・・・・・・』
思えば随分と森の奥に来た。
こんな森の奥にこんなに綺麗な泉があったなんて、監督生だというのに僕は本当にこの学園のことを知らない。
「・・・精霊でもいそうな場所ね」
月明かりが届く閑かな水辺に飛ぶ蛍光。
光の正体はいつか読んだ書物にあった、光る虫の燐光だろう。
僕は彼女の横顔を盗み見た。
同じ色の瞳────
奥行のない瞳はただ静かに泉に魅入っていた。
『・・・マリア』
「・・・・・・なあに」
僕は再び前を向いた。
『・・・・・・・・・怖かった?』
彼女はややあって、少しだけ笑って答えた。
「・・・ううん」
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