短編小説A | ナノ



優しい死神
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月の大きな夜だった。
僕は何年も過ごした広い私室を見回した。

愛用のデスクにチェスト、そしてたくさんのキャンバス。全てが手放すには惜しい気がしたけれど、それはきっと僕がこれから起きる事を知っているから。

ドアノブを回せばほら、僕は全てを捨てて前を向いて歩き出すことができる。



───僕は最期まで前向きな気持ちでいた。




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テーマ「人外ファンタジー」
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