今、君に4/7
「あなたは・・・どうしてたの?」
男は言葉を探しているようだったが、ややあってため息と共に口を開いた。
『・・・相変わらず独り身だ。気晴らしに夜会に来てみたが・・・』
「・・・・・・・・・」
『・・・俺もこのまま一生独り身だろうな。もうそれでいいと諦めがついてきたところだ』
ふふ、と笑いグラスの酒を口に含む男。その笑顔はどこか哀しげにみえた。
気の利いた一言すら言えない私は景色だけを見つめ続けた。
『・・・俺達は命があるだけでも感謝しなければならない立場だからな』
「うん」
『・・・これ以上は望めないのさ。奴だって同じ事を思っているんだろう』
切々と語られる彼の言葉が胸に痛かった。
運命のいたずらに翻弄される彼らを、私はただ傍観することしかできないのだ。
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