01




パタンと開いた古い写真アルバム
懐かしくて、寂しくなる


そこの写真には隊長であった自分の姿と、二つ結びの副隊長、白い服を着た副局長。
そして、第四席の彼女。

皆を裏切る形になってしまった“追放”。
時に重荷になることもあるのだが



どっこいしょと腰を持ち上げ、アルバムを棚にしまった
棚にある写真たてには何も入っていない。というのは、写真の裏が見えるように入れているのだ。



久々に昔の世界を思い出した
今の生活に、今の世界に満足しているのか?
昔に戻りたくなるのか?
自分には分からない。ただ、置いてきた彼女が必ず頭の片隅に存在している。

置いてきた、つまり裏切ったのだ



「おい、店長!!ちゃんと働けよな!」

ジン太に突然話し掛けられてびくりと肩が動いた。
今日は大晦日。自分の誕生日でもあるが、大晦日は大晦日なわけで、皆で大掃除というところだ。


「…ハイハイ」


軽く返事をすると、鋭い目付きで睨まれた。
すると、ズカズカと自分の元へと寄ってきて、棚にあった写真たてを取った。

「…何もねぇじゃねえか」


「そりゃ入れてませんからねぇ」


「……」

無言で写真を引っ張り出して裏返したジン太

「バレちゃいましたか」

ふうとため息を着くと、じっと見いっているジン太の姿があった


「この女誰だよ?」


単刀直入に聞くジン太の目は好奇心いっぱいでキラキラしていた。

「店長いつも違う女といるからこんな写真たてに入れるくらいの人がいるんだな!」

ほぉと適当に返しつつ、ちらりと写真を覗いた。
腕を組み、微笑みあっている男女
アタシにも幸せだった頃があったんスよぉ、そう返せば不審そうな視線を向けられた。


「彼女は十二番隊第四席、みょうじなまえさんっス」

「てことは、同じ隊だったのか」

「そうっスねぇ〜。そりゃもう、皆が羨ましがるくらいラブラブでして♪」


「でも、裏切っちゃいました。」


ジン太からひょいっと写真を取り上げて、写真たてに入れる



「さささ、ジン太もちゃんとお掃除しなさいな」


何かを言いたげなジン太の背中を押して部屋から追い出した。


もう一度あの写真を見てみる
彼女の笑顔が胸に刺さる

きっと前なら、今日を楽しみにしていただろう
誕生日を一緒に過ごしていただろう

みょうじなまえ…さん。
覚えているんスかねぇ…


「……掃除しますか」


ため息を一つついて雑巾を手にした






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