ひとつひとつに一喜一憂

「銀ちゃーん、私のパンツはー?」

「あ?知らねえよバカヤロー」

「あーもう!このクソ天パ!」

「………」


……クソ天パってひどくね?クソ天パなんてなかなか傷付くんだけど。
しかも理由あれだから。パンツだから。彼女のパンツの場所知ってる方が怖いから。多分ジャイ子の事だからパンツを渡したら渡したで変態呼ばわりされることには間違いない。
あーもうなんでパンツパンツ言わなきゃなんねーんだよクソ。

するとジャイ子はブラとパンツオンリーで居間に戻ってきた。しかも黒のヒラヒラしたやつ。

「えっ、ちょっ、ジャイ子ちゃんんんんんんん!!!????」

「何よバカクソ天パ」

「バカクソっておま、ふざけんなよォォオ!!!天パなめんな!!!!じゃねーよ!!普通にブラとパンツいっちょでうろちょろすんな!!あとヒラヒラさせんな!!!だーもう誘惑なのコレ!?コレって…あれ?ジャイ子ちゃん…」

「なに?」

「……お前…痩せすぎじゃね?」


最近確かに痩せたな〜とか、二の腕の肉減ったなあ〜とか気付いてたよ?
いや、でもこれ痩せすぎだわジャイ子チャン。
銀さんびっくりしたからね。おっぱい大きい癖にくびれ半端ないよお前。足なんてガリッガリじゃねぇか。腕とかあんなに細かったっけ?

あれ?ジャイ子とはほぼ毎日会ってるよね?
ダイエット中とか言ってたけど何だかんだ食べてたじゃん。


「ちょっと。銀ちゃんガン見しすぎ変態」

「いやいやいやいやいや待ちなさい良き娘よ」

「は?…ってなに触ってんの変態!!!!!!」

バシンと殴られたがどこか以前よりも威力が減った気がする。


「やっぱり、ジャイ子痩せすぎだわ今すぐ太れ。そして肥えろ。今からパフェ行くぞ」

「…っなに言ってんの!?やだよ!!」

「お前なー、前の方が全然良かったぞ?ちょっとむっちりしてる方が俺は好きだ」

「べ、つに天パの意見聞いてない」

「ハイハイ。じゃあ今からパフェな」

「…やだ」

「なーに拗ねちゃってんの。ほら」


ぐいっと掴んだ手首はあまりにも細くて驚いた。
ふわっと軽すぎる身体がバランスを崩して俺の胸に倒れ込んだ。
コイツ、どんだけ無理してたんだよ。背中なんて骨ばって女らしさが消えかけてんぞ。


「ばか。天パ。」

「銀さんは天パですぅバカなんですぅ。だからジャイ子を餓死させるわけにはいかないの」

「…ふぇっ…」

「…どうしたよ。突然お前の中でなにがあったんだよ。俺ァ痩せろなんて言ってねぇよ?」

「違う…のっ……」


話を聞いてると、月詠やらメガネ忍者ストーカーやらお妙やらを見てたら、自分と俺が不釣り合いなんじゃねーかって思って頑張って痩せたらしい。

んなもん必要ねーのに。
俺はジャイ子しか見てねーのに。


バカだなあと思いつつ、ここまで俺のことを想ってくれたジャイ子が愛おしくてしょうがねぇ。



ひとつひとつに一喜一憂


(Aコース様より)


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